Good bye,my...
「わんっ!」
「ノイ…!?」
夕暮れに染まる港で、遠くを眺めていたミズノはぱっと後ろを振り返る。
「わんわんっ」
尻尾を振りながら走って来たノイはそのままミズノの腕の中に飛び込む。
頬をペロペロと舐めるノイに、ミズノは優しい笑みを浮かべる。
「もしかして、僕の見送りに来てくれたの?」
ノイは尻尾を揺らして、ミズノを見つめる。
「ありがとね、ノイ…それと―」
「…なまえちゃん…」
ミズノはふっと顔をあげると、目を細めて呟く。
―なまえちゃん。君は…。
「―元気でね。さよなら…」
そう言うと、ミズノはノイを下ろし、1人フェリーに乗り込む。
「…ばいばい。ミズノちゃん。マリノちゃん」
「わんっ」
ノイはフェリー乗り場の建物の影にいたなまえの元に駆けより、足にすり寄る。
「…君は、羨ましかったんだね、あの2人が」
なまえの隣りで、同じく壁に凭れていたヘッドが呟く。
「―…そうだね。羨ましかったよ」
なまえは目を閉じ、小さく笑う。
―例え幻でも、消えない絆を持った、同じ道を歩んで行くあの2人が。
「私とスガタは、あの2人みたいには生きられないから…」
―だから、ほんの少しだけ躊躇ったのかもしれない…。
「…」
「大丈夫だよ。それだけだから」
なまえはしゃがんでノイに手を伸ばしながら言う。
ヘッドは壁に頭を預け、小さく息をつくと、ゆっくり目を閉じる。
「…少しだけ驚いたよ。まさか君が負けるなんて」
なまえの瞳に僅かに影が落ちる。
「けど、君としてはそれでも別に構わなかった事なんだろう?」
爆笑してたしね、と言うと、ヘッドは僅かに笑みを浮かべ、なまえを見る。
なまえは根に持ってるの?と言うと小さく笑う。
その顔には悪戯っぽい表情が浮かべられていた。
「―どんなにタクト君が頑張ってもやっぱり結果は変わらない。だったら」
「―“あれくらい”の驚きがあった方が楽しいでしょ?」
前へ|次へ
戻る