舞い込んだアルバイトA

「―ね、タクト君」


昼休み、昼食を食べるタクトになまえが声をかける。

「ん?何?」

「今日放課後暇だったら1日家でバイトしない?」

「…へ?」

「なまえ?」

「ほぉー。これはまた大胆なお誘いで。新たなライバル誕生かぁ?」

「違うから、ルリ…」

ニヤニヤ顔のルリに、なまえは苦笑を零す。

「家っていうのはあのコテージじゃなくて、本邸の方。掃除とか、色々手伝って欲しいの」

「本邸?」

スガタも不思議そうな顔をしてなまえを見る。

「何でまた急に。あそこおぬし全然使って無いじゃん」

ルリが言う。

「確かに。何かあるの?なまえ」

ワコが尋ねる。

「うん。明日位からしばらくの間お客さんが来るから、色々準備しないといけないんだ。
メイドだけじゃ力仕事は限界があるし、ダメかな?用事があるんだったら良いんだけど」

「うーん。別に良いよ。特にこれといった用事は無いし。
夏休み前にちょっとでも稼いでおきたいと思ってた所だし」

「ホント?ありがとね。タクト君。助かるよ」


「―で、結局このメンバーでと…」

隣りを歩くワコとスガタに目を向け、タクトは、ははっと小さく声を漏らす。

「なまえの家行くの久しぶりだし。私達も暇だし。ね?」

「そうだな。人手は多い方が良いだろう?」

「だね。じゃあ、スガタとワコもお願いね」

しばらくして大きな屋敷が見えて来た。

「此処がなまえちゃんの家かぁ…やっぱでか…」

「ただいまー」

「「「―お帰りなさいませ」」」

扉を開けると、メイドが出迎える。

「んじゃ、早速だけど始めますか。今日はよろしくね、3人共!」

「「おー!」」

エプロンと頭巾をつけたワコとタクトは拳を突き上げる。
そんな2人を見て、スガタとなまえはくすくす、と小さく笑みを零す。


「―ところでさ、お客さんって、誰が来るの?」

荷物を運びながらふとタクトはメイドに尋ねる。

「あ、それ私も気になる」

「噂では、お嬢様の恋人がいらっしゃるとかっ」

「それ私も聞きましたっ」

「こ、恋人!?なまえの!?」

「本当なのか、それ」

話題が話題なだけに、珍しくスガタも会話に加わっている。

「―いらっしゃるのはなまえ様のご友人ですよ」

メイド達とひそひそと話すタクト達に苦笑するリンが声をかける。

「「「ご友人??」」」

「「そうなんですか?リンさん」」

「はい。ご友人です」

リンは頷く。

「海外に住んでいらっしゃるのですが、なまえ様に会いに来日するんです」

「「「へぇー」」」

「さ、お喋りはこれ位にして、準備を続けましょう」

そう言うと、リンは荷物を持って踵を返す。

「なまえちゃんの友達かぁ。スガタ達は知ってた?」

「いや…」

「なまえは、島の外の事はあまり話さないから…」

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