サマーバケーション
「―ね、ワコ、ワコ。あの人誰?」
浜辺で砂にワコを埋めながらルリがそわそわと尋ねる。
「彼はヒオト・ヤナさん。なまえの友達で昨日からこっちに遊びに来てるの。
で、その後ろにいるのが、ヤナさんの世話役でイリヤさん」
ワコはビーチベッドで横になってるヤナと、その後ろに控えているイリヤに目を向け、言う。
「ヒオトって、あのヒオトグループ!?」
「そこの次男なんだって」
「お金持ちの上に何か儚げでカッコいい〜。あたし挨拶してこっ!」
「こら…もう。ルリってば…」
「くすくす…相変わらずイケメンに目がないね、あの子は」
「あ、なまえ」
ワコはサーフボードを手に戻って来たなまえに目を向ける。
なまえはサーフボードを置くと、砂に埋められているワコの隣りに座る。
「疲れたから少し休憩」
「くす…サーフィン上手だったよ。皆なまえ達に釘付けだよ」
「私達じゃなくて、スガタにだよ」
「もうなまえってば…」
「ヤナさん、優しかった〜!」
戻ったルリは興奮気味に両頬を押さえながらなまえの反対側に座る。
「もう笑顔が眩しい!」
「こら。鼻の下伸びてるぞ。ルリ」
「何を言うか。あのイケメンを前にして目を輝かせない乙女が何処にいる!で?彼とはどういう関係な訳?やっぱ恋人?」
「違うって…何で君は誰でもかれでもくっつけたがるのかなぁ?ルリさん」
「そりゃおぬし、女は恋してなんぼでしょ。ただでさえおぬし浮ついた噂あんまないんだから。
ンな呑気な事言ってると、おばぁさんになっちゃうよ!?」
「余計なお世話だ…」
「ヤーナ。起きてる?」
ルリ達の所から離れ、ヤナの所に戻って来たなまえは後頭部に手を回し、ビーチベットに横になっているヤナを覗きこむ。
「うん。起きてるよ」
「後で海行こうよ。折角来たのに海に入らないなんて勿体無いよ?」
「そうだね。良いよ。行こっか」
「うんっ」
「―まぁ。熱々ね」
「ホントだ」
2人は顔をあげ、声を方へ目を向ける。
「お久しぶりね。ヤナさん、なまえさん?」
「やぁ。マドカ、コウ」
「貴方もこの島に来てたんだ―」
「まぁね」
「“遊びに”来たの?」
「―えぇ」
「だって彼、なかなか楽しめそう」
なまえの問いにマドカとコウは笑みを深める。
ヤナは僅かに目を細める。
「けど、あんまり悪戯が過ぎると痛い目みるから、気を付けた方がいいよ―」
ヤナは感情の読めない瞳で微笑む。
「気をつけるよ―」
「それじゃあね」
2人は軽く手を振ると、ワコ達の方へと足を向ける。
「変わらないね、あの2人」
「変わらないだろうね。あの子達は」
俄かに騒がしくなり2人は顔を見合わせる。
「何だろ…」
「あの2人がワコ達にちょっかいかけたみたいだね」
コウからの提案でバレーボールで対決する事になったらしい。
ビーチバレーのコートに移動する4人を2人は目で追う。
「ねぇ、なまえ。どっちが勝つと思う?」
「うーん…此処は親友としてワコ達を応援しないわけにはいくまい」
「じゃあ、俺はあっちを応援しようかな。負けたら罰ゲームね。
相手の命令を1つ聞くっていうのでどう?」
「何でも良いの?」
「うん。良いよ」
「乗った」
「決まりだね」
勝負開始早々、コウとマドカは次々と得点を決めていく。
「やるねぇー」
「頑張れ、ワコー、ルリー!」
2人はなまえの方を見ると、頷く。
21点まで間近に迫った所で、ワコが反撃し始める。
「―やれる気がする時は、やれる!」
「スイッチ入ったなっ!」
「スイッチ入っちゃったかなぁ」
「燃えてるね」
ワコとルリは反撃して追い上げるも、コウに最後のマッチポイントを取られてしまった。
「どんまい…良い勝負だったよ」
なまえは悔しそうにタクトにオイルを塗って貰う2人を見てるルリとワコの肩を抱く。
「なまえ〜!あたしは完全にタクト君にオイル塗って貰うモードだったんだよー!」
「タカスギ先輩はどうした…」
「(てかタカスギ先輩って誰…?)そうだそうだ。男はタクト君だけじゃないんだから」
「でもでも〜…やっぱりタクト君にオイル塗って欲しかったぁ〜っ!」
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