溢れる欲望の舌なめずり

「―始まるわね」


景色が止まり、グラウクローネやヘッドも他のバニシングエージのメンバーと共に球体に包まれる。

「零時間か…!」

「第3フェーズになって、零時間も変化した様ですね」

バンカーが言う。

「あれは何?」

上空を見上げてニードルスターが尋ねる。

「表巫女の神殿だ」

「表巫女?」

「この零時間の制御装置だよ」

ヘーゲントの胸部を見たタクト達は目を見開く。

「ドライバーが中にいる…!?」

「タウバーンと一緒か…っ」

「絢爛登場!銀河美少年!ヘーゲント!」

「やっぱり眩いね―」

「ウィンドウスターじゃなくてヘーゲントを名乗るのか」

「既にサイバディと一体化しているという意識なんだろう」

「一体化したドライバーは、即ち“銀河美少年”」

グラウクローネは楽しそうに笑みを浮かべる。

「ウィンドウスターはどんな戦いを見せてくれるのかしら。楽しみね…」
―欲に塗れた貴女の“遊び”とやらでも、暇つぶしにはなるかしら…。

「スターソード・ぺルル!」

ヘーゲントの胸部からピンクのスターソードが現れる。
タクトはタウバーンに乗って応戦し、ヘーゲントを追い詰めるが寸前の所で躊躇う様にスターソードが止まる。

「ふっ…」

グラウクローネは口許の笑みを深める。

―やはり躊躇うか、ツナシ・タクト…。

「よろしくないわね、タウバーンッ!」

タクトの態度に激昂したウィンドウスターが、逆にタウバーンを追い詰める。

「退屈だわっ!」

ヘーゲントの身体中のミサイルがタウバーン目掛けて飛ぶ。

「うわあぁぁぁっ…!」

ミサイル攻撃をまともに受けたタウバーンは地面に倒れる。

「まずいな…」

追い詰められたタクトに、スガタが王の柱を出すがヘーゲントはそれを弾いた。

「…」

「最早、第3フェーズ以降の戦いで王の柱は脅威ではないな」

ヘッドが言う。

「よーし、こっからだ!やれそうな気がする時は、やれる!」

「狙い所はわかった!」

「…」

グラウクローネは顎に手をやる。

「銀河の光よ、この身に纏え!輝く流星!タウ・ミサイル!」

タウバーンの胸部から眩い光が飛び出し、ヘーゲントの胸部の球体を抉る。

「何だ、あの技は…」

グラウクローネはソファから立ち上がると腕を組み、タウバーンを見る。
その口元からは笑みはとっくに消えていた。

「…第3フェーズになって進化したのは、やはり私達だけではない様ね。彼もまた、進化している」

仮面の奥で、蜂蜜色の瞳が鋭く細められる。

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