揺らす赤

「―…」


バニシングエージの秘密部屋で、グラウクローネは1人カウンターに腰掛ける。
グラスを揺らし、カウンターに置く。
グラウクローネはグラスに映る自分の姿を見つめる。
グラスの中で揺れる鮮やかな赤は先程またもや自分達のサイバディを破ったあの少年を思い出させる。

「…ツナシ・タクト…」

ポツリと呟いた声には全くと言って良い程感情が籠められていなかった。

「タウバーンは何処まで進化する…?」

グラウクローネは誰に問うでも無く呟く。

「…」

ふと横にあったダーツを1本手に取ると、その尖端を見つめる。

「私と正反対の道を行く君をどうしようか?」
―ねぇ?タクト君…。

ダーツをくるくると弄びながら笑みを零す。

「人を殺さない戦い方…か。正義のヒーローにはピッタリね―」
―ウィンドウスター達は絶対に気に入らないだろうけど。

グラウクローネの投げたダーツは小さな音を立ててダーツボードの中央に突き刺さる。

「あーあ…計画が止まってるんだか進んでるんだか」
―…何だかいらいらするのは、自分で思ってる以上に焦ってるって事なのかな…。

静かな空間に、グラウクローネの小さな溜息だけが音を立てる。

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