隣り合って触れられない海空(あお)

「―ね、なまえ。海行こうよ」


2人はヤナの観光がてら島を散策していた。

「うん。此処はやっぱり海が綺麗だね…なまえの色だ」

「キザ」

「くすくす…本当の事なのに。酷いなぁ」

肩を竦めるヤナになまえは小さく笑って、冗談だよ、と言う。

「あ、でも、だったら空はヤナの色だね」

「俺の色、か。悪くないね」

ゆっくりと流れる雲が空を見上げる2人の瞳に映る。
なまえはそっとヤナの手を握る。

「ヤナ…君を好きになってよかったって、今でも思ってるよ」

ヤナはくすっと小さく笑ってから、僅かに目を伏せる。

「そうだね、俺も思ってるよ」


「君を好きになってよかった」
―君と優しくて苦い恋をして…1番望んでた結末とは言えないけど、それでもあの選択が間違っていなかったと思えるのは、今でも君と恋とも友情とも違う確かな絆で繋がっているからなのかな…。

「俺も大概単純だな…」

「?」

きょとんとするなまえにヤナは小さく首を振る。

「何でも無いよ。そろそろ行こっか」

「うん」

なまえはヤナの車椅子を押すと、2人は海に背を向ける。

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