引き止めて、擦り抜ける

「―ねぇ。零時間を解除して外に出た瞬間に、この島が核攻撃を受ける可能性も、無くはないよね?」


スティック・スターが尋ねる。

「…サイバディなら、耐えられるのかしら?」

スティック・スターに続く様に、グラウクローネが言う。

「科学ギルドの計算では、サイバディは核ミサイルの攻撃にも充分耐えられる」

議長が答える。

「だけど、その時サイバディとアプリボワゼしてない者はどうなるの?」

グラウクローネは仮面の奥で僅かに目を細める。

「…」
―…なるほど。

「今の第3フェーズの状態で零時間の外に出ても、世界は俺達の物に出来るよね?」

キャメル・スターが言う。

「…」

ヘッドは黙ったまま、手にしたダーツを投げる。

「ヘッドは隠し事が多すぎる。ひが日死の巫女が誰なのか、まだ教えて貰えないのか?」

「―隠し事が多いのは、お互い様だろう?」

「「「…?」」」

「…」

「先日、キャメル・スターとダーツをやった。
戦う順番をダーツで決めていたそうだが、あれ程の腕前を持つキャメル・スターが何故いつも負け続けていたのか、不思議だ」

「「「…!」」」

「…それ位にしておいたら?ヘッド」

そう言ってグラウクローネはダーツを投げる。

「証拠もなく仲間を疑うのは良くないぞ」

議長が窘める様に言う。

「それもそうだな。悪かった。許してくれ、キャメル・スター」

ヘッドは小さく笑って言う。


「―だから貴方は嫌われるのよ」

2人になった秘密部屋でグラウクローネは先程と同じようにダーツを投げる。
呆れた様に言うグラウクローネにヘッドは悪びれた様子も無く笑う。

「少しからかっただけさ。
それに、俺は嘘は言って無い。事実を言ったまでだよ」

そう言ってくるくるとダーツを弄ぶ。
グラウクローネは小さく息を吐く。

「…貴方に、キャメル・スターをからかえるの?」

「―サイバディ復元のリスクを恐れてるのは、貴方も同じでしょう?ヘッド」

「ふふっ…君に隠し事は出来ないな」

「俺もリスクを恐れている」


「―だからこそ、こうして待っているんだ…“時期”を」

ヘッドが投げたダーツはカッと小さな音を立ててダーツボードに突き刺さる。

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