理由

「―向かい、良いですか?」


「なまえ?」

顔を上げたギンタはほんの僅かに目を丸くしたが、誰だかわかると、あぁ、と軽く頷いた。

「…知りたかった事はわかったか?キャメル・スター」

ギンタはふっ、と口端を上げる。

「まぁな」

「…お前はずっと知ってたのか?ひが日死の巫女が誰なのか」

「―ニチ・ケイト。またの名を、イヴローニュ」

なまえは組んだ両手の上に顎を乗せ、笑みを浮かべる。

「なら、ヘッドが大事にしてるシンゴとかいう少年の事も知ってるのか?」

なまえはギンタから視線を外すと、窓の外を見る。

「…ヘッドは彼が目覚めるのを待ってる」

「目覚め、ねぇ」

「それで?そこまで知ったからには、タクト君に勝負を仕掛けるの?」

ギンタはふっと笑う。

「生憎、俺に奴の都合を待ってやる理由は無いんでね。
ひが日死の巫女もわかったんだ。待つ必要は無いな」

なまえはストローでミルクティーをかき混ぜながらくす…っと小さく笑う。

「それもそうね…」

止めんなよ、と言って、ギンタは店を出て行く。

「…君の狡賢さがあれば、彼を倒せるかしら?キャメル・スター」

グラスを滑り落ちる水滴を眺めながら、なまえは僅かに目を細める。

―私にも、待つ理由はないんだけどね…。

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