逃した好機

「…零時間か…今日は早いわね」


「うっ…く…っ!」

「ん…?」

片膝を地面につくタクトに球体の中から見下ろしていたグラウクローネは僅かに首を傾げる。

「タクトの様子がおかしい…」

スガタが心配そうに言う。
上空からキャメル・スターのサイバディ―ギメロックが姿を現す。

「…キャメル・スターか」

「くっ…アプリボワゼッ―!」

「スターソード・コライユ!」

タクトは足に怪我でもしているのか、いつもより動きが鈍く、ギメロックに簡単に攻められていた。

「はははっ!その身体で何処まで保つかな!?」

「くっ…」

「キャメル・スターはツナシ・タクトに一体何をしたんだか」

グラウクローネは口元に指を添えると、笑みを浮かべる。

「―悪いな、タウバーン!」

その瞬間、ギメロックの頭部と胴体が分離する。

「何!?」

「分離攻撃…!」

「ぅわっ…!何をするつもりだ…っ!」

分離したキャメル・スターの乗る頭部が向かった先は、ワコだった。

「皆水の巫女をいただく!」

「ワコっ!」

「へぇ」
―案外、キャメル・スターは面白い戦いをするな。

ワコの前に立ちはだかったスガタは右腕を突き上げる。
だが、ギメロックは王の柱を弾く。

「第1フェーズの攻撃は第3フェーズのサイバディには通用しないっ!」

「皆水の封印を破るつもり…?」

ウィンドウ・スターが不満げに呟くと、ニードル・スターが球体から飛び出す。

「ニードル・スター?」

「アプリボワゼ―!」

「ニードル・スター…!?」

グラウクローネの口元から笑みが消える。

「何だ…!?」

「っ…ワコ!」

「ワコ―ッ!」

「貰ったァァ―!」

ワコに手を伸ばしたギメロックをコフライトが妨害する。

「コフライト!?どういうつもりだ、ニードル・スターッ!」

「それはこちらの台詞だ!ウィンドウ・スターのサイバディがまだ直っていないのに勝手に零時間を解除するな―!」

「くっ…」

「仲間割れか…!?兎に角、イッツ・ア・チャーンス!」

「止めろ、ニードル・スター!何…!?しまった…!」

「銀河の光よ、この身に集え!輝く流星!タウ銀河ミサイル―!」

光はギメロックの胸部を貫く。

「ちっ…馬鹿共が」

「…」

見下ろしていたグラウクローネは苛立たしげに、ギリッと奥歯を噛む。

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