審判者の力
地面から現れた鎖がタウバーンの四肢や首、腹部と、身体中に巻き付く。
「っ…!?」
「「「…!?」」」
「鎖…!?」
鎖が巻き付いたと同時に、タウバーンの周囲の空間がまるで蜃気楼でも見ているかのようにぐにゃり、と歪む。
「な…に…?タウバーンの周りだけ、歪んで…」
恐怖や興味、困惑―様々な感情の籠もった瞳が、2人に注がれる。
「っ…ぐ、ぁっ…ぅっ…っ!」
身体中を走る気持ちの悪い奇妙な感覚に、タクトは呻く。
立ち上がったグラウクローネは静かにタウバーンを見下ろす。
「…時針は“戻る”」
グラウクローネは小さく呟く。
「“1”から“0”へ」
タウバーンの胸元が光り、球体が流星の様に飛び出す。
「「「…!?」」」
「!?」
胸の球体から弾き出されたタクトは、茫然と座り込んだまま、オリハルコン素体へと戻ったタウバーンを見上げる。
「…な…んだ…?」
「―タウバーンの“時”は戻り、停まった」
静まり返るその空間に、グラウクローネの声だけが冷たく響く。
「お前のサイバディは、もう動かない」
「何が、起きたの…」
「“カイロス”…サイバディの“時刻(トキ)”を操ると言われる、審判者の能力…」
グリーンが呟く。
シルバーは声を上げるのも忘れ、データを保存するべく、忙しくキーを叩いている。
「アプリボワゼが、強制的に解除された…?」
―これが、審判者の力…。
スガタは眉を顰める。
「っ…アプリボワゼッ―!」
タクトの声にも、オリハルコン素体へと戻ったタウバーンは何の反応も示さない。
「タウバーン!どうしたんだ…っ!」
「お前とタウバーンとの間の“アプリボワゼ”は断たれ、時刻(トキ)を停められたサイバディは、再びアプリボワゼする事は出来ない」
グラウクローネはその口元に勝利の笑みを浮かべる。
「―お前には既に“スタードライバー”の資格は無い」
「くっ…」
グラウクローネはふふっ…、と小さく笑う。
「所詮、お前に“旅立ちの日”の訪れを阻む事は出来ない」
―お前にも、誰にも…邪魔はさせない。絶対に。
「自らのサイバディと共に、お前もこの“檻”で眠れ―ツナシ・タクト」
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