水滴は落ちて、堕ちて

「―君を想っているという点で、俺と彼は似た者同士なのかもしれないな」


「…ヘッド」

なまえは振り返る。

「彼は君の世界の中に在り続けたいと願い、そうしようとした。
それだけが、俺と彼の唯一にして、最大の違いだ」

「…」

なまえはもうすっかり日が沈み、星が瞬く夜空を仰ぐ。

「…馬鹿な事だとは、思わないよ」

星が空を彩る様に、月が夜を照らす様に、誰かの世界の中で輝く存在でありたい―そう願う気持ちを、望む想いを、自分は知っている…。
それでもそう想う心を自分から手放したのも、そう想ってくれる人を突き放したのも、全部、自分の弱さだ。
なまえはぎゅっと拳を握り締める。
ヘッドは小さく微笑むと、ぎゅっと拳を握り締めるなまえの手を取り、優しく指を開かせる。

「そんなに強く握りしめてたら掌に傷がつく」

「…」

ヘッドは解いた指に、そのまま自分の指を軽く絡める。

「俺も、そう思う事は馬鹿な事じゃないと思うよ」

なまえに倣う様にヘッドは空を仰ぐ。
風が身体から徐々に熱を奪っていく中、繋いだ指先だけが変わらない温度を保っていた。

「…ヘッド」

「何だい?」

「ツキ先輩は、優しい」

ヘッドは少し目を丸くしてから、君がそう言うんなら、きっとそうなんだろうね、と言う。

「君とは、違う。だから、私は君を好きになったんだと思う」

「それって、褒めてる?」

「一応ね。君も私も馬鹿って事だよ」
―似ているから、私は君に縋りたくなるんだ…。

なまえはあざ笑うような笑みを浮かべる。

「…」

ふと、夜空が色彩を失い、世界が灰色に染まる。
ヘッドはなまえを見る。
景色と同じく動きを止めた所を見ると、今日は気分が乗らないらしい。
繋がれる指先の温もりも景色と共に消えている。

「“愛”や“優しさ”だけじゃ、君の銀河は輝かない…想い合うだけじゃ、幸せにはなれない事を、君は知ってる―」
―そしてそれを知っているから、俺は彼女を愛し、愛されるんだ。スティック・スター。

ヘッドは口元に笑みを浮かべ、絡めた指を解き、姿を消す。


―ねぇ、ヘッド。君を想う心が雫となって落ちて、堕ちて、それと一緒に私の罪も積み重ねられて、そしていつか、溜まった想いが溢れて零れ出したら…―。

私の銀河はどんな色に染まるんだろう…。

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