神話前夜

一面、染める花は、空へと昇る光

幾千の息吹達、今、世界が生まれ変わる


「―やぁ、少年。君はマルクだね?」

「そう。僕はマルク。少年マルクです」

奇怪な格好の少女―エントロピープルに、タクト扮するマルクは訝しげな視線を向ける。
君は大海原で暴れているイカ大王の化身なのでは、と。

そしてエントロピープルはマルクに問う。

―君は今、恋をしてるだろう?

エントロピープルの言う通り、マルクは恋をしていた。
“クレイス”という名の黄金色の髪の少女に。

そしてエントロピープルは物語を紡ぐ。
マルクが恋をしたクレイスという少女と、マルクと同じく彼女に恋をした青年、そして、とある巨大な船の話を。

クレイスは美しい少女だった。
だが、同時に数奇な運命を背負っていた。
クレイスの姿は普通の人間には見えない。
勿論、触れる事も叶わない。

だが、ある時、クレイスは自分の姿を見る事のできる不思議な青年と出逢った。
青年の名は“コルムナ”。
出逢った2人は惹かれあい、やがて恋に落ちた。
だが、蜃気楼の様な存在であるクレイスは見る事は出来ても、触れ合う事は叶わない。
近くて、遠い恋。
それでも傍にいたいのだと強い想いを伝えるコルムナに、クレイスは喜びの涙を零す。


―私はきっとこの日の為に産まれて来たのだ、と。

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