2枚の絵
「―あれ?リンさん?」
「こんにちは」
メイドと話していたリンはタクトに気付き、笑みを浮かべて軽く会釈をする。
「リンさんがいるって事は、なまえちゃんも一緒?」
「いえ。なまえ様は昨日遅くまで仕事をなさっていたので、まだお休みです」
「―何かあったのか?」
スガタが階段を降りて来た。
「スガタ様…こちらに今朝なまえ様宛の荷物が届いていませんでしたか?」
リンの言葉にタクトやスガタは僅かに顔を険しくする。
「…何故それを」
「先日、家にカードが送られてきて」
リンはそう言って、ポケットからなまえに渡されたメッセージカードを取り出し、スガタに渡す。
「…」
メッセージカードを見たスガタは眉間に深い皺を刻むと、こっちだ、とリンに背を向け、歩きだす。
「なまえ宛ての贈り物っていうのは、多分これの事だろう」
案内されたのはリビングで、床に、壁を背凭れに、2枚の額入りの絵画が置かれている。
1枚はスガタの肖像画、もう1枚はあの夕陽の見える公園から見た星空の風景画だった。
スガタが顎で指したのは星空の絵だった。
「星空…」
リンは隣のスガタの肖像画に目を向ける。
それはスガタにとてもよく似ているが、何か、違うものだった。
不気味、とでもいうのか、とリンは思った。
「…この絵を描いた男、タクトの父親だそうだ」
「はい。以前、なまえ様に聞きました」
リンは2枚の絵の右下に書かれたRのサインに、微かに目を細める。
「Rのサイン…」
リンは持って行きますね、と絵画を持ち上げる。
「―リン」
「はい」
「…いや…何でも無い…」
―なまえ…。
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