肩越しの恋人
「―なまえって今日何で休んでるの?」
「スガタ君が言うには風邪だって」
教室で昼食を取りながらワコとルリが話す。
いつもならここにもう1人―なまえがいる筈なのだが、今日は病欠という事で学校に来ていない。
「彼氏とデートかもっ!」
「ばべじ(彼氏)!?」
ずいっ、と身を乗り出すルリ、にワコは口におかずを頬ばったまま目を見開く。
「聞いてないよ、そんなの!何時聞いたの!?」
「え、いや、聞いては無いけど…その…見ちゃって…」
ぽっ、と頬を染めるルリに、つられてワコの頬もうっすら赤味が差す。
「な…何を…!?」
「だから、その…ちゅーしてるとこ…学園祭の時に」
学園祭の日の夕方、教室に忘れ物をしたのを思い出して教室に行ったルリは、教室でなまえがキスしているのを見かけた。
扉に背を向けていたなまえは気づいてはいない様だったが、その相手はルリに気づいたらしく、ルリを見やり、目を細めて微笑んだ。
思い出して恥ずかしくなったのかルリは顔を真っ赤にして俯く。
「だ、誰!?知ってる人!?この学校の人!?」
ルリはううん、と首を横に振る。
「知らない人だった。あたし達より少し上くらい、かな。
頭の良さそうなかっこいい人。ワコ、知り合いじゃないの?」
大抵一緒にいる3人ならもしや共通の知人かと思っていたルリは少し驚いた様に尋ねる。
「多分知らない…なまえ、そういう事ってあまり喋ってくれないから…」
「なまえってたまに不思議だよね」
パクリ、と得意料理のコロッケを食べながらルリが言う。
「へ?」
「近くにいると思ってても、気付いたらすっごく遠くにいたりして。何だか猫みたい」
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