求めるイタミ
「ん…―」
「―おはよう、シンゴ」
目を開けた少年―マキバ・シンゴを覗きこむ様にヘッドは笑みを浮かべる。
「トキオ…?」
「あぁ。そうだよ」
「僕ね、長い夢を見てた…」
シンゴは小さな子供の様にぽつり、ぽつり、とゆっくりと言葉を紡ぐ。
「夢を見てたのは知ってるよ。でも、どんな夢だったのかな?」
「約束、覚えてる?」
ヘッドは笑みを深める。
「…この世界は僕がなりたい大人になれる世界じゃなかった…だから僕は成長を止めた…けど、そしたらもっと苦しくなった…自分だけが取り残されていく…トキオは、平気なの…?」
「とにかく君のが欲しいんだ。そしたら、もっと平気になれる…」
「そう…なら、良いよ。僕のはトキオにあげる」
シンゴは手を伸ばすと、ヘッドの胸元に翳す。
眩い光を放ち、ヘッドの胸元にシルシが刻まれる。
「今度は俺が夢を見る。永く、楽しい夢をね―」
「トキオは、あの子を、失うかもしれないよ…?」
「あの子?」
「夢の中で、僕を呼んだ、女の子…」
『―起きて。もう、旅は終わりにしよう?』
ヘッドは目を細めて微笑む。
愛おしそうに、何処か、眩そうに―。
「彼女は失わないよ。永遠に…あの子は俺だけの綺羅星だ」
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