喩えるなら痛みは花の様に

「―おはよう、マキバ・シンゴ君」


ベッドに腰掛け、窓の外を見ていたシンゴは小さく肩を揺らすと振り返る。

「君は…君が、僕を呼んでた女の子…?」

なまえは答えず、ただ笑みを浮かべる。

「旅は、終わったんだね」

シンゴはこくり、と小さく頷く。

「逃げ続けるのは、逃げる前よりも、もっと苦しかった…変だよね…」

「逃げ続ける旅は苦しいだけで、きっと、結局は何からも逃れられてないんだよ…私も、最後は逃げられなかった…」

「…トキオは、君を失うかもしれないってわかってるのにそれでもシルシを欲しがってた…」

なまえは驚いた様子もなく、僅かに目を伏せる。

「あの人はずっと前から、夢を見てる。遠い銀河の世界に―」

「銀河の、世界…」

シンゴはなまえの視線を追う様に、窓の外に目を向ける。

「…だから、そこへ旅立つ為の“船”を欲しがってるんだよ」

「船、か…」

シンゴは窓の外からなまえに視線を移す。

「―ねぇ、君はトキオが好き?」

「うん。好きだよ」


「そう…じゃあやっぱり君も、旅立つんだね―遠い世界に…」

なまえは何も言わず、微笑む。

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