君の手、僕の手
『なまえ、今浜辺で流れ星が沢山見えるんだって!見に行こうよ!』
『うん!』
―そういえばあの時、僕は流れ星に何を願ったんだろう…?
「…なまえ」
スガタはさっきまでなまえと繋いでいた自分の手を見つめる。
あんな風に手を繋いだのはいつぶりだったか…。
ふと脳裏を掠めたのは、まだ小学校低学年の時の、夜の浜辺に流れ星を見に行った時の記憶だ。
あれからだいぶ経って、同じくらいだった手の大きさも、自分の方が大きくなり、同じ色白の手は、同じ様に稽古をしていても自分よりも柔らかい。
「なまえ…」
スガタはもう1度ポツリと呟く。
―幼い頃、誰よりも近いと思っていた距離は、いつの間にか、誰よりも遠ざかってしまった様な気がする…。
スガタはふっ、と自嘲気味に小さく笑う。
『誰ともホントの繋がりが無い私はっ、世界で1人なんだよ…っ』
『私の世界は、何処にあるのっ…』
「…」
なまえを自分の側に繋ぎ止めておく事は差して難しい事じゃない。
ただ一言、自分だけはこの世界でなまえと繋がってるのだと、そう言えば良かった。
それが出来なかったのはあの頃の自分の弱さで、未だにそうする事が出来ないのは今の自分の弱さだ。
自分の運命すら受け入れる勇気の無い自分に、なまえの運命まで一緒に背負う勇気は無かった…。
『大好きだよ…スガタ』
スガタはゆっくりと目を閉じる。
―その一言を聞けただけで十分だ。
なまえがマイアンのドライバ-であろうと、自分が歩む道は変わらないとわかったのだから。
「…なまえ。君やワコの生きる世界は、僕が守る…」
―それが、僕に出来る唯一の事だと信じて…。
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