選ばれし者の時間

「…今夜もフィラメントが動くのね」


「…グラウクローネ」

スカーレットキスが振り返る。

「スピードキッドは勝てるの?銀河美少年に」

「黙って見てなさい」

そう言ったと同時に周囲の景色が色を失い、時間が止まる。
シャボン玉の様な膜が周囲を覆う様に包み、足が地面を離れる。


「―これが零時間か…」

グラウクローネは感心した様に呟く。

「そういえば、昨日はお前はいなかったな」

同じく球体に包まれたグリーンが言う。
球体に包まれたワコが現れると同時に、タクトが現れる。

来たか、ツナシ・タクト。

「…銀河美少年の力とやらを、見せて貰おうじゃない」

サイバディ・テトリオートははしゃいだ様に手足を忙しなく動かす。

「ヘイヘイヘイ!早く乗りな!今夜の俺を待たせんな!」

「…いつものスピードキッドじゃないわね」

「唇を使ったわね」

「―ガラス抜きで」

頭取とイヴローニュが言う。

「それとも、先に皆水の巫女の封印を破るかぁ!?」

タクトはワコを見てから、キッとテトリオートを睨みつける。

「―アプリボワゼェェ―!」

空間が割れ、サイバディ・タウバーンが現れる。


「…銀河美少年」

グラウクローネは仮面の奥で目を細める。

「出る杭は打たれるって事、覚えておけ!」

スピードキッドは車輪の様な物をブーメランの様に放るが、タウバーンはそれを全てかわした。

「良い動きね。第3フェーズだから?壊すのが惜しくなる」

頭取が言う。
その後もタウバーンはスピードキッドの攻撃を避け、懐に飛び込んだ所で拳を振り上げる。

「あの子は、素人じゃないわね」

タウバーンの動きを見たイヴローニュが言う。

「もうお前達の勝手は許さない!島の巫女にも、手出しはさせない!」

「…」

「はっはっはっ…だが昨夜の様には行かないぜ、銀河美少年!今夜の俺は、気合1億ボルトだァァ!」

「…案外単純ね」

「あら、私は初な男は嫌いじゃないけど」

「よしっ」

「…ヤな女」

四肢に車輪が現れ、バイクの様な形状に変わると、目にもとまらないスピードでにタウバーンの向かっていく。
スピードに目が追い付かないのか、攻撃を受けたタウバーンは膝をつく。

「俺達フィラメントにこそ、綺羅星は輝いている!」


「…あっけないわね」

銀河美少年…こんなものか。

グラウクローネは落胆の色の混じる声音で呟く。

「逃げてタクト君!もう良い!」

ワコが叫ぶ。

「これで、終わりだ―!」

とどめを刺そうとした瞬間、1度膝をついたタウバーンが再び立ち上がる。

「銀河を満たせ、タウの輝き!」

「何…」

「炸裂!タウ銀河ビーム!」

青い閃光はテトリオートを包み、爆破させる。

「すご…」

上空の爆発を見たスカーレットキスは思わず声を漏らす。


「本当に出る杭は、打たれても尚出るのさ!」

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