そう、これは唯の…。

「え?名前?」

「そう!何であたし達の事名前で呼ばないの?」

「あたしも思った!」

昼休み、食堂でいつものように昼食を取っていたナマエはワコとルリに詰め寄られ、少し困った様に眉を下げて苦笑を浮かべる。

「別に理由なんてないけど…成り行き、かな?変?」

「友達なのにさん付けとか堅いじゃない!」

「堅い?」

「「かたーい!」」

うーん、と渋る様に聞き返せば2人に口を揃えて言われ、ナマエは身を引くように軽く上体を反らせる。

「そこまで言うんなら…ワコ、ルリ」

ルリとワコはにんまりと笑みを浮かべている。

「あっ、いた。おーい、ワコー!」

「ちょっとちょっとタクト君!ワコにしか声かけないってどういう事ー!?」

「え、あ、いや…部長が呼んでるから呼びに来ただけで…ね…?」

「こらルリ。タクト君困ってるでしょうが!」

「部長何て?」

「今日は進路相談で来れないから昼休みでミーティングするって」

「そうなんだ。わかった」

ワコはごめんね、と弁当を片づけ、タクトやスガタと共に食堂を出ていく。
ナマエは2人と一緒に去っていくスガタの横顔をちらり、と見遣る。
スガタはタクト達と何か話しながらいつものように薄く笑みを浮かべている。

「…」

ぽん、と脳裏に浮かんだのは先日の、あの笑った顔だ。

―やっぱ、普段はあんな風に笑ったりしないか。

そんな事は今知った事でもないのに、何故か残念に思っている自分がいる。
スガタを見かける度に、目で追いかけて、期待している。

「良いなぁ、ワコ…あたしもタクト君とスガタ君に挟まれて歩いてみたーい!」

あぁでも困っちゃうなぁ!と目をハートにするルリに苦笑を零す。

「まぁでも、確かにイケメンは目の保養だよね」

それでも彼等2人を引きつれて廊下を歩く勇気は自分にはないが―。

「それも2人共レベル高いし!今までスガタ君が断トツだったのにタクト君が来てあっという間に人気を二分しちゃったし!恐るべし…!」

何がだ、と内心突っ込みながら、ははっ、と渇いた声を漏らす。
入口を振り返ると、3人の後ろ姿はもう見えなくなっていた。
ナマエは入口を見つめ、ぱちり、ぱちり、と目を瞬いた。

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