目に見える違和感

プールの中心の柱の上でスガタをジャッジに2人は対峙する。

「(剣道部員と銀河美少年…どっちが強いのかな?)」

なまえは張り詰めた空気の中、何処か面白そうな顔で2人を見ていた。

「ちょっとちょっと…防具着けないでやるの…?」

ルリが少し慌てた様に声をあげる。

「平気よね?」

「剣術の経験は?僕がやっても良いけど」

「これって時給幾ら?」

「勝ったらバイト代は2倍。後、私とガラス越しのキス。ガラス抜きで好きなだけ」

「何それ!ダメよ、そんなの!」

「2倍かぁ…」

タクトは呟いてから、竹刀を構え、腰を落とす。

「その条件でやるの?」

ワコが不安げな声音で言う。

「2倍はおいしいよね」

「じゃなくて…っ」

「…」

なまえはワコを見ると、少し目を細める。
2人はゆっくりと立ち上がる。

「―始め!」

スガタの声で試合が始まる。
試合はタカシの優勢に思えた。
タクトはタカシの竹刀を受け止めながらも、徐々に後退していた。
何とか体勢を持ち直すものの、攻撃に今ひとつ決め手がない様に見えた。
タクトは時折竹刀を左右の手に持ち替えるが、どうもしっくりこないといった顔をしていた。

「…?」
何だ…この違和感…。

観戦しながらなまえは少し首を傾げる。

「(タクト君は一振りじゃやり難いのかな…?攻撃にも決め手がないし―)」
でもそれって…。

「ダメね。2人共、本気じゃないわ」

カナコは小さく溜息をつくと、踵を返す。

「止め!」

スガタが制止をかけ、試合は引き分けで終わる。

「自分でやらせておいて、気紛れね」

ルリは呆れた様に言う。

「…ミセス・ワタナベの言う通りだ」

本気じゃない試合程つまらない物はないね。

なまえは誰にも聞こえない位の小さな声でポツリと呟いた。

前へ次へ
戻る


StarDriver
トップページへ