見えない表情

「今日はワニやら副部長やら…動物に囲まれて物凄い疲れた日だったなぁ…」

すっかり日が暮れ、スガタとなまえの2人は夕暮れに染まる道を帰路につく。

「はははっ…」

疲れた様な溜息をつくなまえにスガタは苦笑を零す。

「…ワコ、ほっとしてたね。勝負が引き分けになって」

「なまえ…?」

「君は良いの?ぼやぼやしてたら、タクト君にワコ取られちゃうかもよ?」

なまえは前を見たまま言う。
スガタは驚いた様に目を丸くしたが、すぐにいつもの笑みを浮かべる。

「そうかもしれない…」

「でも、そうなったらそうなったで、仕方ないよ。人の気持ちは操れないんだから。それに、ワコが幸せなら、それでも良いよ。僕は」

「ふーん。案外さっぱりしてるんだね。私は、てっきり君は嫉妬でどろどろなのかと思ってたよ」

「それって、僕の事心配してくれたって事?」

スガタはなまえの方を向いて微笑む。

「…何で嬉しそうなの」

なまえは少しむっとして歩を速める。

「人が真面目に話してるのに…意地悪」

「僕だって真面目に聞いてるよ?」

2mほど距離が開いた所でなまえは足を止め、スガタを振りかえる。


「…心配だよ…君はいつだって何もかも我慢してるから」

逆光で表情は見えなかったが、なまえの声は何処か弱弱しかった。

「…」

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