月の裏側に君はいる
雲一つない夏の青い空に、君の姿を見た気がした。
澄み亘る広大な青い海に、私の想いのひと欠片を落としてみた。
「暑い…」
窓辺に力なく凭れ、ナマエはその体勢が物語る様に、気だるげに零す。
忌々しげに空を見上げればさんさんと太陽が輝いている。
ぐっ、と目を細め、太陽を見つめ、力尽きた様にへたり、と更に背を丸める。
明日の球技大会の準備で、授業はほとんどない。
視線を落とせば、各クラスの選手陣が校庭で各練習しているのが目に入る。
明日の本番に備えて最終調整でもしているのだろう。
視線を校庭に落としたまま、青春してんなー、と何処か他人事のように思いながら、照りつける日差しに、もう1度気だるげに溜息をつく。
球技大会と言っても、選手じゃないホタルのやる事と言えば自分のクラスの応援と、後は、新聞部に応援を頼まれた各所の写真撮影くらいだ。
「あー…」
このやる気のなさは果たして青春真っ盛りの女子高生にあるまじき言動なのか、と自問自答するが、結局のところ、有用な答えは出そうにない。
「あ。ワコ達だ―」
見慣れた姿を見つけ、上がった声は、着地する場所を見失った様に、ふわふわと彷徨い、最後は風にかき消される。
ワコ、タクト、スガタの3人の纏う雰囲気の様なものは何だか独特で、こうして遠くから見ていてもそれは明らかで、それが何だか羨ましくて、でも、妬ましくて、どろどろと、見えない何かが、胸の奥で渦巻く。
眩しい、という言葉がぴたりと当てはまる様な光景だな、と思う。
「…」
―あの中に、私は、いないん、だよね…。
今までだってそうだった筈なのに、急にそう思うのは何故なんだろう、と自分自身に聞き返すが、返事は返ってこない。
「何、考えてんだ…」
「変な、の…」
思わず顔を顰める様に目を細めたのは太陽のせいなのか、それとも別の何かなのか、ホタル自身にもよくわからなかった。
「はぁー…」
―暑さのせいだ…。
空が零した涙は、私だった。
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