水底の輪に想いを覗かせて
「…」
ライトに照らされたプールの水が底に反射してゆらゆらと白い輪を作って揺れている。
自宅用のプールの良い所はこういう所だと思う。
1人しかいないから他人を気にしなくて良いし、考え事に集中できる。
なまえはぷはっと水面に顔を出す。
「…まるで人魚みたいだね」
「…ヘッド」
ヘッドは微笑むと、なまえに手を差し出す。
なまえはヘッドの手を取ると、プールから上がる。
「こんな時間に水泳かい?」
「そういう気分だったの」
なまえは椅子に置かれていたタオルでごしごしと水気を拭う。
「銀河美少年の事を考えてた?」
「…まぁね。誰か早くあの邪魔な少年を倒してくれないかなぁって思ってたんだよ」
なまえは小さく笑う。
「…本当に?」
「へ?」
ヘッドはなまえの首元に張り付いた髪の毛を指ではがす。
「…なまえ」
ヘッドはなまえの顎に手を添えると、顔を近付ける。
「…ヘッド…?」
なまえの声に、触れるか触れないかの距離で近付けていた顔が止まる。
「ごめん…今のはズルかったね」
「…?」
ヘッドは立ち上がると、なまえの額に軽くキスを落とし、背を向ける。
「お休み。早く着替えなよ。風邪を引く」
「…」
『…本当に?』
そう言った時の彼の顔が妙に頭から離れない。
「…私、何か言った…?」
1人のプールでなまえはポツリと呟く。
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