背中合わせの2つ星
目的の懐中時計も無事直り、ワコとタクトの2人は町を散策していた。
「あ…タクト君、ちょっと待ってて!すぐ戻るから」
ワコはそう言うと、雑貨屋に入って行く。
しばらくして戻って来たワコと共に、2人は次は洋服屋に入る。
「―そのシャツ、スガタに似合いそうだね」
服を見つめるワコにタクトは声をかける。
「、…」
「どうかしたの?」
暗い表情のワコにタクトが尋ねる。
「うん…今日ね…スガタ君となまえの誕生日なの」
「今日…?」
「でもね、2人とも、誕生日が嫌いなんだ…」
「2人共…?従兄弟で同じ誕生日だから、とか…?まさかね…」
「…違うの…」
ワコは消え入りそうな声で呟く。
「あの2人は…スガタ君となまえは、従兄弟じゃない」
「…血の繋がった、双子の姉弟なの」
ワコの言葉にタクトは目を見開く。
「え…?」
「“スガタ”っていうのは代々シンドウの家系にシルシを持って産まれた者につけられる特別な名前なの…」
「そして、シンドウ家のしきたりで“スガタ”と名付けられた子と双子で産まれた者は、産まれてすぐ分家に引き取られる…」
「…」
「スガタ君達が自分達の生まれとサイバディの秘密を知らされたのは丁度5年前…それから、自分達の誕生日の事、嫌いになっちゃたみたい…」
「あの2人も、サイバディに乗れるの?」
ワコは目を伏せる。
「なまえはシルシは持ってないから乗れない。けどスガタ君のは、少し違うの…」
「タウバーンとかは戦士のサイバディ。私が受け継いだのは巫女のサイバディ…でも、シンドウ家の、スガタ君が受け継いだのは、王のサイバディ」
「その力は、多分この星で最強…」
「最強のサイバディか…」
タクトは呟く。
「けど、そのサイバディは多分壊れてる。だからもう動かないの」
「つまり乗れないって事?」
「そのサイバディは動かなくてもアプリボワゼする事ができるの。そして、そのドライバーは強力な第1フェーズを得る」
「第1フェーズ…」
―僕にもあるのかな…。
「巫女の私と違って、スガタ君は出ようと思えば島から出られる」
「でも、その強い力を外で使わないよう、スガタ君も島から出る事を禁じられて、この離れ小島に囚われてる…」
「スガタはどんな力を持ってるの?」
「何も持ってない」
ワコの答えにタクトは少し目を丸くする。
「え…?」
「シルシは持ってるけど、スガタ君はアプリポワゼしていないし、してはいけないの」
ワコの瞳には言い知れない覚悟が籠っている様に見えた。
「王のサイバディとアプリボワゼした者は、記録に残ってるそのほとんどのドライバーが、王の柱と呼ばれる強力な第1フェーズの力を使った後に、深い眠りに落ちて…」
「もう二度と、目覚めなかったって…」
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