ガーベラ

ポケットからケータイを取り出し、受信メールを開く。

「母さんからだ」

《Dear.なまえ。
元気してる?
写真で悪いけど、今年はガーベラを送ります。
あとなまえに似合いそうな服も送っておいたから、今日か明日には届いていると思うわ。》

《仕事は程々に。
高校生は3年しかないんだから、沢山楽しむ事!わかった?
それと、今こっちでやってる仕事が片付いたら一旦日本に帰るね。
私も父さんもなまえに会えるの楽しみにしてるわ。
母さんより》

添付データを開くと、画面一杯のガーベラが写っていた。

「花言葉は希望、か…ありがと、母さん」

なまえは嬉しそうな、だけど何処か悲しそうな顔をした。
メールを保存してケータイを閉じると、ギュッと握りしめる。

なまえの頬を涙が伝う。
堪える様に口許に手の甲を当てる。
手の甲に、特有の熱っぽい息がかかる。

「っ…ふ…っ」

夜の浜辺に、小さな嗚咽が波の音に混じる。

―嬉しいのに、同じ位悲しい…。
こんなにも私を愛して大切に想ってくれてる貴女達と、私は一生、本当の親子になる事は出来ない…。

何より…私の存在は、誰よりも大切な君を傷つける事しかできない…。


ごめんね…スガタ…。

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