王の柱
「…」
冷たい夜風が泣いて火照った頬に此心地良い。
「…泣いたのかい?」
「…泣いてないよ」
なまえは振り返らずに答える。
ヘッドは小さく笑う。
「君は嘘が下手だ」
軽く頭を撫でると、少し屈んで顔を近付ける。
「俺と初めて会った時も、そんな顔してた」
そう言うと少し腫れているなまえの瞼に軽く口付ける。
「…だから、此処に来たの?」
「“そうだよ”って言ったら、君は俺を信じてくれるかい?」
今度はなまえが小さく笑う。
「信じるよ…」
「そうか…嬉しいな」
ヘッドは風にあたって冷たくなったなまえの身体を抱き寄せる。
「ヘッド、あったかいね…子供体温?」
「俺は普通。君が冷たいだけだよ」
「…あったかくて、気持ち良い…」
軽く身体を擦り寄せる仕草は幼い子供を思わせた。
ヘッドはくすくす、と笑う。
「なら君の気が済むまで、俺がずっとこうしていてあげるよ。なまえ…」
「っ…?」
ふとビクッとなまえの肩が揺れる。
「なまえ…?」
「何、だろ…感じる…大きな力…」
「大きな力?」
「うん…」
―何だ…この胸騒ぎは…今まで感じた事の無い…。
背中を嫌な汗が伝うのがわかる。
突然、島が揺れた。
「地震か…?」
島の中央辺りに青白い光の柱が現れる。
2人は目を見開く。
「あれは…」
「…王の、柱…」
―それが意味する事はただ1つ。
「…スガタ…っ」
なまえは一目散に走り出す。
「…」
残されたヘッドは未だなまえの温もりの残る掌を見つめる。
「…スガタ、か」
―君の世界を占めてるのは、いつだって彼か…。
ヘッドは1人微笑む。
その笑みは何処か悔しげだった…。
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