そして君は深い森に迷い込んだ
「ワコっ…!」
無我夢中でシンドウ家本邸に駆け付けたなまえは飛び込む様にスガタの部屋の扉を開ける。
そこにはワコとタクト、タイガーとジャガー、そしてベッドに横たわるスガタがいた。
「なまえ…スガタ君が…っ」
ポタポタと零れ落ちた雫が染みを作る。
「本当に、ザメクと…アプリボワゼしたんだね…」
頭が妙に冷めて行くのを感じた。
「ごめん…綺羅星に襲われて…」
タクトは顔を俯かせる。
「っ…私を守る為に…私を助けようとして力を…っ」
―ごめんね…っ。
それは多分なまえに向けたものであり、スガタに向けて言ったものなのだろう。
「…ワコのせいじゃないよ…」
なまえはワコを抱きしめる。
ワコはぎゅっとなまえの服を握る。
「泣かないで、ワコ…」
―君が泣いたら私も悲しいし、それにきっと、スガタも悲しむから…。
「アプリボワゼしちゃったんだね…」
眠るスガタの頬を軽く撫でる。
横たわるスガタはただ呼吸をするだけで微動だにしない。
「なまえお嬢様…」
「…ワコは?」
「別室でお休みに。泣き疲れたご様子で…」
「そっか…」
「私達がついていながら…申し訳ございません…!」
「申し訳ございませんっ!」
2人は顔を歪め、頭を下げる。
「タイガー、ジャガー…君達が謝る事なんて1つも無いよ」
「けれど…」
「私達の力不足で、ワコ様をお守りできず、その上坊ちゃまに…っ」
「君達は精一杯私の大切な人達を守ろうとしてくれた。それだけで十分だよ…」
「スガタは大切な人を守る為に自分の意志で王の柱を使った…」
なまえはスガタに目を向ける。
「5年前、決めたんだよ…」
「いつか、スガタがこの力を使ってしまう日が来ても、スガタが後悔してないなら、私も後悔しない。スガタはワコを守る為に力を使って後悔してないと思う…だから…」
「ありがとう、タイガー、ジャガー。ワコとスガタの為に戦ってくれて…」
「っ…」
「お嬢様…」
「…私達今日で16になったんだよ。全然実感ないや…早いね…」
―君と一緒に産まれてから、もう16年も経ったんだ…。
再び2人になった部屋の中でなまえは微笑みながらスガタに話しかける。
「どうせこうなるなら、1度くらいおめでとうって言っておけばよかったな…」
―君の双子の姉として…。
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