欠けた景色
「おはよ。なまえちゃん…」
「タクト君…?」
「スガタの代わり…とまではいかないけど、たまには一緒に学校行こうと思って」
「もしかして、気ぃ使ってくれてる?」
「正直に言えば。でもなまえちゃんと、少し話したかったんだ…」
いつもよりも少しゆっくりと歩きながら、学校向かう。
タクトは明るく振る舞っていたが、やはりいつもの明るさが無い。
「…ワコから、私の事も聞いたの?」
最初に口を開いたのはなまえだった。
「うん…」
「そっか…それだけタクト君を信用してるんだね…」
「―君は、スガタの事好き?」
なまえは面食らう。
「今日はいつになく直球だね…好きだよ。多分、世界で1番大切な人」
「そっか…」
「血の繋がりしか残って無いけど、私はスガタを大切な弟だと思ってる…」
「良かった。そう言ってくれて。安心した」
「…タクト君、もしかして今迄ずっと私がスガタの事嫌いだと思ってた?」
「そういう訳じゃないけど、なまえちゃん、時々僕だけじゃ無くてスガタやワコとも距離を置いてるように見えたから…」
「そうだね…それは否定しないよ。けど、別に君達が嫌いだからってわけじゃない…本当に嫌いだったらまず関わらないから」
「はっきり言うねぇ…」
タクトは苦笑を零す。
「…スガタね」
なまえの足が止まる。
数歩先でタクトも足を止め、なまえを振りかえる。
「…双子だってわかってから、時々私といると辛そうな顔するんだ…」
「私が原因だってわかってるんだけど、そんなスガタの顔見るの、凄く苦しかった…」
「…苦しいのはきっと、君とスガタがお互いに好きだからだよ…」
なまえは小さく笑うと再び歩き出す。
「そうだね…好きって気持ちだけで、幸せになれたら良いのにね…」
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