王の帰還
「王の柱だ…!」
「王の柱を見た…」
「ザメクが復活したのだ…!」
“王の柱”の出現に団員達は興奮冷めやらぬといった様子でざわついていた。
ヘッドが到着し、総会が開始される。
「そうだ。諸君も知ってる通り、昨夜この島の空をあの王の柱が貫いた。シンドウ・スガタがサイバディ・ザメクとアプリボワゼしたのだ!」
「この事態を招いた第3隊・ブーゲンビリアの責任を問うべきです」
「あらそうかしら。彼はいつでもアプリボワゼ可能な状態だった。それがたまたま昨夜だった事が私達ブーゲンビリアの責任?」
イヴローニュが言う。
「それよりもシンドウ・スガタの現在の状況の方が重要なんじゃないの?」
「ザメクの過去のドライバー達は全て、王の柱を出現させた後、2度と目覚め無かったとある」
ヘッドが答える。
「では、もう死んでいるのと同じか、あるいは既に息をしていないかも…」
グリーンが言う。
「兎に角、現在のシンドウ・スガタの状態を確認する必要はある。ザメクのドライバーが覚醒するなら、我が綺羅星十字団もそれなりの対応を考えねばならない。敵にすれば厄介だぞ」
ヘッドは少し思案気な顔をして、口を開く。
「そう…イヴローニュのミスでもあるし、此処はブーゲンビリアに責任を取って貰おうかな」
「―だそうだ」
総会が終わり、ヘッドがグラウクローネに声をかける。
「別に構わないわ。私が嫌がると思ったの?」
「半々かな。君はあまり動じない性格だけれど、今回ばかりは動揺するかと思っていたよ」
「切っても切れない絆で結ばれた、"大切な弟”が目覚める事のない眠りに落ちたんだから…」
「“弟”、ね…絆は、見方を変えればただの錆着いた鎖でしかないのに…」
グラウクローネはポツリと呟く。
「…ヘッド」
「何だい?」
「…シンドウ・スガタはいずれ目を覚ます。必ず」
「それは、君の願望か?」
グラウクローネは口端を上げる。
「確信よ」
ヘッドは小さく溜息をつき、軽く首を振る。
「…やはり、厄介な事になりそうだ」
だが、その声音は楽しそうだった。
「…始まるか」
景色が止まり、球体に包まれる。
零時間にはワコやタクトの他に、球体に包まれたスガタがいた。
胸元のシルシが青い光を放っている。
「…アプリポワゼしたせいで呼び寄せられたのか」
「ザメクとアプリボワゼしてまだ息があるという事ね」
頭取が言う。
「昨夜のリターンマッチだ、銀河美少年!」
「昨日の奴か…お前のせいでスガタは…っ!」
タウバーンが現れる。
「よそ者は排除する!此処は私達の島!島の遺跡は全て私達の物だァァ!」
カフラットの両手からマーメイドールが飛び出す。
―マーメイドール…オンディーヌの第1フェーズと聞いたが…。
「…第2フェーズでなら、それなりにコントロールは利くのか…?」
マーメイドールはタウバーンに体当たりを繰り返す。
「泳げ、カフラット!」
カフラットは脚部を魚の尾ひれの様なものに変形させると、地面に潜る。
地下からの攻撃に、タウバーンは為す術も無い。
「炸裂!タウ銀河ビーム!」
だが地面を燃やすのみで、カフラットにはダメージを与えていない。
「…思ったより使えるわね」
「それより、また暴走するんじゃないでしょうね…?」
「―可能性は無いとは言えないわね」
カフラットの放ったビームの1つがスガタの球体に当たり、球体が消え、スガタがそのまま落下する。
「!、…」
グラウクローネは思わず息を呑む。
だがタウバーンが間一髪のところで受け止めた。
タウバーンの掌の上のスガタの瞼が開く。
「な…」
「今だ!」
オンディーヌの声と共に地面からカフラットが姿を現し、ナイフの様な姿に変化すると、タウバーンの背中めがけて攻撃を仕掛ける。
「速い…!」
スカーレットキスは思わず呟く。
タウバーンは素早くスターソードを現すと、振り返りざまにカフラットを両断する。
「…」
グラウクローネは静かにタウバーンを見つめる。
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