イカ刺しサムの物語
「王様は王位を譲ると言った」
「王様は最初から呪いを解く青い血をもって来た者に、その王位を譲るつもりだったのだ」
「けれどサムはその申し出を断った」
“王様、僕はただ貴方が持ってるという銀河の船が欲しいだけなんです。
だから王位なんて要りません。国など欲しくありません。”
「ホント面白い」
ヘッドは手の甲で転がしていた青い飴玉を握りしめる。
「こうしてサカナちゃんの話が聞けるなら、俺もまだ頑張れる」
気多の巫女はヘッドを見る。
「すると王様は言った」
“良かろう若者よ。望むものは何でも与える約束だ。違えるつもりはない。
あの銀河の船を譲ろう。
だが若者よ、イカ刺しサムよ…”
転がる赤と青の飴玉がぶつかりコツ…コツ…と小さな音が鳴る。
“心して聞くがいい。あの船を動かすには、お前が恋する少女の赤い血を1滴残らず、そのエンジンに注がねばならぬ。”
転がる赤い飴玉が青い飴玉の手前で止まる。
“そう…恋する少女を殺さねばならぬ。
そうしなければ、動かない。”
「…」
ヘッドは動きを止めた赤い飴玉を取ると、眉を顰める。
「さぁ、持って行け。たった今からお前の物だ」
気多の巫女の広げた両手には赤い飴玉があった。
ヘッドはため息をつくと、横になる。
「甘いな…この飴…」
人生という冒険は続く…。
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