遠い眼差し
グラウクローネは1人、シンドウ本邸に近い森の中を進む。
しばらくして、景色が開ける。
そこは昨夜王の柱が現れた場所だった。
剥き出しの岩肌がその威力を物語っている。
「…やっぱり此処か」
グラウクローネは呟く。
その視線の先にはスガタが立ち尽くしていた。
スガタの前に突如現れたスカーレットキスを始めとするフィラメントの3人は地面に膝を付く。
「シンドウ・スガタ様。我らが綺羅星十字団にお招きする為に参上致しました。綺羅星十字団は第1隊エンペラー代表の座を貴方の為に空席にしてお待ちしております」
だが、スガタに反応は無い。
「…」
―完全に意識が戻った訳ではないのか…?
グラウクローネは顎に手を当てる。
スカーレットキスはスガタに歩み寄る。
再度声をかけるが、やはり反応は無い。
そこへスガタを探してやって来たタクトが姿を現した。
スピードキッドとレイジングブルがタクトに襲いかかる。
2人に押さえられ身動きが取れない隙に、スカーレットキスはスガタの口唇に自らの口唇を重ねる。
「スガタ!」
タクトはスガタの元に駆けよる。
何度呼んでも意識を取り戻さないスガタに、タクトはスガタの頬をパチンッと叩く。
スガタの瞳に生気が戻り、タクトを見る。
「…タクト」
スガタは振り返りスカーレットキス達を見やると右手を上げる。
それを見た3人は息を呑む。
「まずい!王の柱を使う気だ!引け!」
3人はやむを得ず去って行く。
グラウクローネもさっと身を隠し、その場を離れる。
「ふっ…目覚めてすぐまた王の柱を使うつもりか」
グラウクローネは僅かに呆れを含んだ笑みを浮かべる。
「―スガタを目覚めさせくれた事には感謝するわ。ツナシ・タクト」
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