イカ刺しサムの物語

「サムは少女を殺した。」

「眩い銀河に旅立つ為に、少女の赤い血を船のエンジンに注いだ。
結局、サムが恋ししたのは少女ではなく、銀河への憧れだった…」

気多の巫女の足元に赤い花びらが散っていた。


「恋する少女は最初から、憧れの旅路を飾る花でしかなかったのだ。
船はサムを乗せ、銀河へと旅立つ」

「けれどもすぐにサムは気づいた。
あれほど憧れた銀河の世界…だが、それらの星々は生まれ育ったあの魚の惑星とどれほどの違いがあるのだろう…」

「あの魚の惑星も銀河の一つ。銀河は遠い世界ではなく、サムは最初からその眩い世界に住んでいたのだ」

ヘッドは拳を握り締め、掌の飴は粉々に砕けていた。


「では何の為にサムは少女を殺したのか…」

「…それで終わりか?」

ヘッドは気多の巫女に背を向けたまま尋ねる。
気多の巫女は何も答えず、立ち上がる。

ワンピースが床に落ちる。

「…物語は本当にそこで終わるのか?」

ワンピースの上に首輪が落ちる。


「お前の話はもう良い…出てってくれ…」

ヘッドは立ち上がると、去って行く。


「さよなら…」

少女の頬を一筋の涙が伝う。

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