2つの名前

南十字学園。
この南十字島で最も大きな学校であり、この島に住むほとんどの学生はこの学校の所属と言っても良い位の規模の広さを持つ学校だ。

なまえ、スガタ、タクトの3人はクラス分けの掲示板を見る。

「皆同じクラスだね。タクト君も同じだ」

「うん」

「そういえば、タクト君は何でスガタと一緒に登校してきたの?昨日こっちに来たばっかって言って無かった?」

なまえは未だ掲示板を見ているタクトに話しかける。

「あぁー…それはですねー…」

「…?」

「彼、泳いで来たそうだよ。本土から…っ」

スガタが笑いを堪えながら言う。

「本土から…!?」

「あははは…」

「意外とさばいばーなんだね…」

なまえは引きつらせた笑みを浮かべる。


「あれ?」

ふと掲示板を見ていたタクトが不思議そうに声をあげ、首を傾げた。

「どうかした?」

タクトの様子に先に気がついたスガタが声をかける。

「いや…なまえちゃんって名字マナセって言ってなかったっけ?クラス分けの名前、シンドウ・なまえって書いてあるけど…あれってなまえちゃんの事だよね?1組になまえって名前1人しかいないし」


タクトの言葉にスガタは何とも言えない顔をした。

「正式な名字はシンドウだよ。マナセは父方の名字。家のお父さん、一応婿養子だから」

なまえは大して気にした様子も無く答える。

「へぇ。でも何で名字使い分けてるの?ややこしくない?」

「タクト…」

「ん...?え?」

「…そんな深い理由とかないよ。タクト君も好きな方で呼んでいいから」

「?わかった」


「いつも以上に視線が痛い…スガタとタクト君が並んでるせいだ…」

なまえがちらちらと自分達に向けられた視線にうんざりと呟く。

「なまえだって原因の1人だろう。男子も見てた」

「男子もスガタ達が気になるんだよ」

「何だそれ…」

スガタはははっと小さく笑う。

「お。やぁ」

タクトに応える様にワコもやぁ、と片手を軽く上げる。

「何何何!親しい訳!?」

ワコの隣にいた少女がずいっと前に出る。

「あたしマキナ・ルリ!得意な料理は肉じゃがです!」

「肉じゃが…食べたい…っ」

「食べたいね」

「肉じゃが、良いよね」

「あ?」


そんなタクト達の姿を、2人の青年が少し離れた場所から眺めていた。

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