ドア越しの背中
「ふぅ…」
湯船に浸かり、なまえは息を漏らす。
「第2フェーズのままでタウバーンと王の柱と同時に相手取るのはやっぱり無理があるかな…」
「…王の柱を使ったんだね。彼」
浴室の入り口に何時の間にか人影が現れる。
「…君がこの前何か吹き込んだんでしょ?」
ヘッドは入口に背を凭れたまま小さく笑う。
「吹きこんだなんて人聞き悪いなぁ…俺はただ、与えられた才能を使わないのは罪かもしれない、って言っただけだよ」
「罪ねぇ…」
なまえはなら、と口を開く。
「君はまた絵、描くの?」
「どうしようか―」
君はどうして欲しい?とヘッドは言う。
「君が描きたいなら描いた方が良いと思うよ。それに、そうしないのは、“罪”なんでしょ?」
顔を上げ天井を仰ぎながら、ヘッドはそうだね、と言うと目を閉じる。
「怒ってるかい?君の大切な彼に力を使わせるように仕向けた事」
「怒って無いよ。目覚めた後、力を使うかどうかは、スガタが決める事だし…」
なまえは目を伏せる。
「そういえば、子犬を飼い始めたんだね。さっき家中を走り回っていたよ」
「色々あって飼う事になったの。可愛いでしょ?」
ヘッドはくすくす…と笑う。
「あぁ。飼い主に似て可愛い子だ」
「ねぇ、なまえ―」
「何?」
「一緒に温泉入っても良いかい?」
「ダメ」
「つれないなぁ…冗談なのに」
―半分は本気だったけど。
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