アインゴッドの眼
「―アプリボワゼ!」
アインゴットのオリハルコンが活性化し、赤い模様の様なものが浮かびあがる。
「始まる―」
「―見物だな」
復元したアインゴットはその身体を握り潰していたザメクの掌を開き、立ち上がる。
それと同時に景色が止まり、零時間が始まる。
零時間の空間に、灰色のサイバディ・アインゴットが佇む。
「やぁ―」
「貴方が戻ってきたのを見ると、第3フェーズが近いのを実感するわね」
「ふっ…」
ヘッドは小さく笑う。
「彼女は復元に成功したんだね」
ヘッドは隣のグラウクローネに言う。
「…彼女も、それなりのリビドーは持っていたという事ね」
「“アインゴットの眼”作動します。スタンバイして下さい」
両肩の2つの眼が開き、ギョロギョロと忙しく動き回る。
「あれが…アインゴットの眼…」
「巫女の居場所を見通せるという眼を備えたサイバディ…けれど、何故あのサイバディだけが握り潰されていたのか…もっとよく考えてみるべきだったんじゃないかしら…」
頭取が何処か不安を孕んだ声音で呟く。
額の3つ目の眼が開くと同時にアインゴットは激しく暴れ出す。
「マンティコールは、このまま銀河美少年を倒すつもりなの…?」
スカーレットキスが呟く。
「違う…これはマンティコールじゃない…アインゴット自体が暴れてるんだ…!」
イヴローニュが声を荒げる。
「くっ…!」
ずきっと頭に走る痛みにグラウクローネは思わずよろける。
「グラウクローネ…?」
「大、丈夫…大した事はない…」
グラウクローネは額を押さえながら言う。
アインゴットの眼がぎろっとこちらを向く。
ヘッドははっと顔をあげる。
「…!」
「そんな…!」
「こっちにも来るぞっ!」
アインゴットの腕は頭取やグラウクローネ達の球体を腕で薙ぎ払う。
薙ぎ払われたグラウクローネ達は地面に降り立ち、1つの球体に包まれる。
アインゴットは猛獣の様に吼える。
「何だこいつは…」
グリーン達は困惑したようにアインゴットを見上げる。
タクトの胸のシルシが光り、タウバーンが現れる。
「くそっ…」
―やはり…審判者(私)を拒絶するか…っ。
アインゴットは剛腕でタウバーンを殴りつけ、力で捻じ伏せる。
「…」
―目的は達成された…あれはもう、用済みだ。
スガタが手を挙げると同時に、グラウクローネも片手を上げる。
「グラウクローネ…?」
「何を…」
スカーレットキスを始めとする綺羅星の面々もグラウクローネに目を向ける。
青い光を放つ王の柱が現れると同時に、地面から碧色の光が溢れ出し、アインゴットとタウバーンを包む。
2色の光に包まれると同時に、アインゴットの両肩の眼が潰れる。
その光景に、誰もが目を瞠る。
「まさか、あれは…っ!」
「審判者の、泉…」
「どういう事だっ!グラウクローネは審判者のシルシを持っていると言うのか…!?」
頭取が思わず声を荒げる。
「王の柱の力を差し引いて考えても凄まじい力だ…」
グリーンが呟く。
ヘッドは何も言わずグラウクローネに目を向ける。
「―今はそれよりも、向こうの戦いの方が重要じゃないのか?」
グラウクローネは僅かに口端を上げて言う。
「まさか…」
「そんな…本当にあのシルシが…」
ワコとスガタは信じられないという表情でグラウクローネを凝視する。
「豪快!銀河十文字切り!」
眼を潰され、勢いを失ったアインゴットをタウバーンのスターソードが切り裂く。
「―…あれは…」
零時間が消える瞬間まで、スガタは困惑した表情でグラウクローネを見つめていた。
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