嘘が語る真実
「…マンティコールは何て?」
ザメクの手に握り潰されたアインゴットを見上げるグラウクローネの背後から、総会を終えたばかりのヘッドとイヴローニュが現れる。
「日死の巫女はいない、と言っていたよ」
「くす…やっぱり」
―彼女の目的は、“あの子”を私達の目から隠す事…。
グラウクローネは嘲笑する様に口端をあげる。
「マンティコールは君の正体に気付いた様だね…」
ヘッドはイヴローニュに言う。
「別に、公表されても良かったんだけど。あの子、余計な事を口にするのは止めたみたいね…」
「へぇ…言わなかったのね、彼女」
ヘッドは小さく笑うと、アインゴットを見上げる。
「つまり、アインゴットの眼は正しく機能したんだ―」
「あの子は、ザメクのシルシを持つ者が産まれた年には、必ず、島に4人の巫女が産まれるという理を知らない」
「だから、嘘を付き通せると思ってる―」
「困ったな。どうやって喋らせるかな…」
「くす…彼女がどう足掻こうと、巫女が見つかった以上、封印はもうすぐ破られる」
グラウクローネの言葉にヘッドが頷く。
「貴方達はもうわかっているのだろう?」
イヴローニュの言葉に2人は笑みを深める。
「あの子が隠す必要がある女の子…つまりはその子が、日死の巫女だ」
「―グラウクローネ」
イヴローニュはヘッドと共に背を向けたグラウクローネを呼び止める。
「何かしら…?」
グラウクローネは足を止め、イヴローニュを振り返る。
「…良かったのか?あそこで力を使って」
「…」
「銀河美少年は兎も角、あの2人は確実に何か感づいている。
正体がばれるかもしれないぞ」
イヴローニュの問いにグラウクローネは、くすっと微笑む。
「“良かった”?使う必要があったから使った。ただそれだけよ…」
グラウクローネは差して気にした様子も無く言う。
「…もしかして、私を気遣ってくれてるの?」
「…」
「―冗談よ」
「…例え正体がばれる事になっても構わない。覚悟はとっくの昔にできている」
グラウクローネは小さく笑うと、踵を返す。
その後を追う様にヘッドも踵を返し、2人は暗がりへと消えて行く。
「…」
イヴローニュは闇に消えて行く2人の後ろ姿を黙って見つめていた。
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