there lived a young prince in a beutiful castle.
そこは幸せの始まりの場所で、幸せの終わりの場所だった。
僕の幸福な日々は君から始まって、君の絶望の日々は、僕から始まった…―。
陽の下にいる事が少なくなった。
元々、陽の下は好きじゃなかったけど、最近は前にも増して、不快で、身体が倦怠感を訴える。
昼間は眠たくて、仕方がない。その分、夜はほとんど一晩中起きてる。
遊ぶ人も話す人もいないから何をするでもなくぼんやりしたり、本を読んだりしてるけど…。
院長先生はきっと夜更かししてるから昼間眠くなるって言ってたけど、違う。そうじゃない…。
よくわからないけど、そういうのじゃ、ないんだ…。
「…」
「クラン?」
「?、ナイ…どうしたの…?もう皆寝てる時間なのに」
「眠れないのかなって思って」
足音を立てないようにそおっと医務室に入ってきたナイは腕に数冊の本を抱えている。
もしかして、僕が退屈していると思って持ってきてくれたのかな…。
「最近昼間ずっと眠ってるでしょ?だから、もしかして夜ずっと起きてるかなって」
やっぱり起きてた、と笑うナイに、心臓の近くがちくり、と痛んだ。
彼女は何も知らないけれど、無意識に指摘された事実は、わざと見ないふりをしてた恐怖を更に増大させた。
「うん…」
暇かなって思ったの、とベッドの側の椅子に腰かけたナイは抱えていた本のタイトルをなぞりながら笑う。
何がいい?とタイトルを並べ立てるナイに口許に自然と笑みが浮かぶ。
「クラン?」
「昔みたいだね…僕が此処にきたばかりの頃みたい」
今の様に全く眠気を感じない程ではなくとも、あの頃も夜は寝つきが悪かった。
それを知って、彼女は毎晩本を持って、僕が寝付くまで読んで聞かせてくれた。
「眠たい…?」
「ううん。大丈夫…」
嘘つき。本当は眠いくせに。
目がとろん、として、今にも目を瞑ってしまいそうだ。
「っ、は…」
せりあがる喉の渇きに、思わず喉元を押さえる。
最近、ずっと続く喉の渇きは良くなるどころか日に日に酷くなっていってる気がする。
水を飲んでも飲んでも満たされない、飢えにも似たこの渇きは、一体何を求めてるんだろう…。
「―…」
何かが、変わり始めてる…。僕の中で。
今までと、違う、何か。
隠、さなきゃ…。皆に、ナイに、知られるわけには、いかない…。
そうしたら、きっと、僕は一緒にいられなくなる。ナイも、怖がって離れて行ってしまう…。
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