バレーボール全日本代表メンバー練習場のロッカーにて。

「昨日名字大丈夫だった?」
「おん。送ってやって無事に部屋帰ってったで」
「まじで? ツムツム優しい」
「せやろ? 俺優しいねん」
「彼氏に会った?」
「は? アイツ彼氏おるん?」
「前部屋行ったときに男物あった」
「ハァ〜? 部屋入ったん?」
「宅飲みしようって言われたから楽しそうと思って」
「アイツほんま⋯⋯」
「で、彼氏いた?」
「知らん。マンションの前まで送って帰った」
「名字、彼氏のこと全然教えてくんないんだよな」
「なんでそんなん知りたいねん」
「いやイケメンらしいって誰か言ってたから」
「絶対俺のほうがイケメンや」
「えっもしかしてツムツム名字のこと好きなの?」
「ん、なわけあるかい! なんでそうなんねん。誰があんな仕事中毒女」
「かわいーじゃん」
「は?」
「名字。いつも一生懸命で可愛くて好きだけど」
「やめろや」
「なんで? いーじゃん」
「あかんで。まあそれについては今日忘れもん届けに行くから確かめたるわ」
「イケメンだったら教えて」
「イケメンやなくても教えへん」

 真相へ近づく数時間前の出来事である。

(20.05.15)