
あの時コナンくんが僕に何を言わんとしていたのかはわからないまま、数日が経過していた。
今日、僕はベルモットを助手席に乗せていた。
「澁谷夏子、28歳…小学校教師…」
「誰よ?それ…」
「僕の依頼人であり…なおかつ…僕が探し求めている最後のピースを埋める手助けをしてくれそうな人物ですよ…」
「だから何なのよ?そのピースって…」
「!?」
ベルモットが言いかけたところで、僕はバックミラー越しに階段から落ちた女性を発見する。
「今、誰かが階段から…」
ベルモットはサングラスをずらし、助手席の窓から階段の上を確認する。
走り去る人影を見ながら、僕は口の端を上げた。
「どうやらパズルは完成しそうですよ…」

コナンくんが僕の“ゼロ”というあだ名をしつこく嗅ぎ回っていることは知っていた。
僕は僕で、コナンくんが必死で隠そうとするも
調べれば調べるほど怪しい彼の失踪事件。
僕はベルモットを呼び出して、最後のピースを埋めるための情報を得んとしていた。
FBIのキャメル捜査官を嗾しかけ、僕は車でベルモットからの連絡を待つ。
彼女にしては珍しくグズグズしているようで、僕はわずかに苛立ちながら車内で待機していた。一分経つのが妙に長く感じて、それが焦りからなのか、自分の推理通りの答えが彼女の口からもたらされるのを待ち望んでいるからなのか、分からないほどであった。
いずれにせよ、これでやっとヒロの仇が取れる。僕はベルモットに悟られないよう仄暗い感情を心の底に押し沈めた。
「意外に遅かったですね…来てくれないんじゃないかとヒヤヒヤしました…」
僕は車に乗り込んだ彼女にチクチクと嫌味を言う。
「彼女のスカーフに似た柄がなかなか売ってなくて…」
「なるほど…で?首尾は?」
「楠田って男…あなたが予想していた通り…拳銃自殺したそうよ…自分の車の中でね…」
彼女はバリバリとジョディ捜査官の変装を解きながら教えてくれた。
「やはり…そういうことですか…」
ベルモットは微塵も疑っていないようだったが、僕にはあるひとつの可能性が見えていた。
赤井秀一は生きている。
「まぁ、証明してみせますよ…僕の推理が合っているかどうか…ぐうの音も出ない状況に追い込んでね…」
僕はRX-7のアクセルを踏み込んだ。