夏の夢の家
115.ポケモンセンターのジョーイさんに事情を説明して、外の設置カメラを見せてもらえ。
兵太からそう言われた俺は早速ロビーへ行き、ジョーイさんへ頼んで、昨夜のセンター周囲の映像を見せてもらった。
ジョーイさんからはジュンサーさんへ連絡しようかと提案されたが、もしかしたら、本当にただ外へ出て行っただけかもしれないと伝え、また何かあったら連絡すると約束した。
あまり大袈裟にすると、後でミツキに嫌がられそうだからな……。
ポケモンセンターのスタッフであるタブンネと、記録映像を見ていく。
速度を上げて再生してはいるものの、ミツキの姿は一向に現れない。
深夜のポケモンセンターが、ただただ暗く映し出されているだけだ。
「ミツキさん、ご無事だといいですね」
隣で見ていたタブンネが、ぽつりと呟く。
ああ。どうか、無事でいてくれ。
「あの……。あのですね、お話すべきかどうか、迷っていたんですけれど……」
不意に、タブンネが言い淀む。
なんだよ。話すのを、迷っていたって。
「実は、過去にもこの様なことがありまして……」
「え! それって……」
「その、心当たりが無いと言えば、嘘になるんです……。ですが……、ああっ!!」
「え?」
タブンネが慌てて指差した画面を追うと、そこには真夜中のポケモンセンターの玄関から、堂々と外へ出て行く人影が。
「ミツキだ……」
外へ、歩いて出て行く……。一人で。
「どうなってるんだ?」
なんだか、様子がおかしい。
一人で、ふらふらと……。
どういう事なんだ?
頭に疑問符を浮かべていると、タブンネが画面を指差す。
「ここ……よく見てください」
映像を巻き戻し、タブンネが指しているのは、画面に映るミツキの、頭の上。
頭の……、え?
「なんだ、これ?」
黒いもやの様な何かが、ミツキの頭の上にぼんやりと映っている。
何なんだ、これは。
神妙な面持ちで画面を見つめているタブンネに尋ねる。
「これは……、正直、私にもはっきりとは分かりません。ただ以前にも、こういったことが数件ありました…。ここ近辺に滞在していたトレーナーが、黒い何かに連れられて、行方不明になってしまうんです」
「ゆ、行方不明……?」
何だその、変な事件は。
ミツキは、そんな事件に巻き込まれたっていうのか。
「ええ。ですが、連れ去られた人たちは皆、ある場所で目撃されているんです」
「目撃って……。一体どこで?」
「このヤマジタウンの外れに、大きなお屋敷があって……、皆、ストレンジャーハウスと呼んでいますが……。ミツキさんもきっと、ここにいらっしゃるのではないでしょうか」
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