夏の陽の下
14.勝負は、私の感覚では追い付けない程に早く決着がついた。
正直に言って、最中に何が起こっているのかさっぱり分らなかったのだ。
気が付くと、ふらふらと眩暈を起こし今にも倒れそうなケンホロウと、それを眺めるハッサムがいた。
「俺の勝ちだな! やったぜミツキ!」
そう言って、ポケモンの彼がくるりとこちらを向いて、近付いて来る。
ポケモンになっても、笑顔は変わらない。
ひとしきり喜びを私に伝えた後、相手の方へ振り返り尋ねる。
「なぁ、俺らの勝ちでいいだろ?」
「うーん、参ったよ。ま、こんな事もあるよな」
相手はそう言って、額のサングラスを少し動かす。
やはり悔しいのだろうか、私と視線が合わない。
こんな訳の分からないトレーナーとポケモンを相手にして、不運な人だと本気で思う。
ただ、謝ってもおかしいので黙っておく。
黙っていると、相手はポケットから幾らかのお金を取り出し、おもむろに私へ差し出した。
「え、何ですか?」
「何って、賞金だよ。はい」
そう言って、少し手を突き出す。
何なんだそれは。
ポケモン勝負とは、お金を賭けたものだったのか。
突然の事で、どう対処していいのか分らない。
咄嗟に隣へ視線を移すと、彼はいつの間にか人間の姿に戻っていた。
「ありがとう。ミツキ、ありがたく受け取っておけよ」
大切なお金なんだから、と。
そんなやり取りを見て、相手は不思議そうに言う。
「変な奴らだな、お前ら」
「あははっ、そうか?」
「何も知らない新人のトレーナーに、なんでお前みたいな強いポケモンが付いてんだよ」
やっぱり、普通の人から見ても彼は強いのか。
だったら尚更、私と彼の関係性は他人から見て謎だろう。
私だって、彼がなぜ協力してくれているのか、事細かに訊きたい所存だ。
「まあ、いいじゃねーか!」
そう笑顔で応え、彼は続ける。
「俺はミツキのことが好きなんだから、それでいいだろ!」
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