夏を知る人

 147.

そうだ。彼女はリバースマウンテンの、サザナミタウンへの出口の所に居た、あの女性だ。
暗くてよく見えなかったが、あの包帯だと思っていたものは、どうやらこのサングラスらしい。
目が見えないということも無い様だ。

「実は貴女方に、ナガアキと再び会って頂きたかったのです」

「え……? 何故ですか?」

「先回の非礼を、詫びてもらうつもりだったのです。あの時、電気石の洞穴で出会った貴女のポケモン…、ダストダスは、本物のダストダスではなかったのではありませんか?」

「え。ええ、確かに……。でも、どうして?」

「あの後の土石調査で、周囲にダストダスが通ったというデータが、検出されなかったのです。……しかし、再び確認を取り、謝罪することなど出来ません。だからあの時、また貴女方に出会えるなんて、奇跡だと思いました。私は貴女の姿を確認したあの時、急いでナガアキを呼びに行ったのです」

「でも、すでに町へ出てしまった私達には、会えなかった……と」

「ええ。……ナガアキは、酷く落ち込んでいたのです。自分の勘違いで、一人のトレーナーに、きつく叱ってしまった事を」

「え、ええ? 本当ですか……?」

とてもじゃないが、あの態度でそれは信じ難いのだが……。
そう言うと、彼女はくすりと笑って、海岸の方を見つめた。

「すみません、言葉の足りない人なのです。本当に」


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