夢の前で b

 W.

「あの少女が……ですか?」

「そう。私とマコモさんも、貴女達の夢の中での行動はずっとモニタリングして大体の様子は見ているし、知っているわ。大体どこに居るとか、何を話していただとか、明確なことまでは分からないけれど……」

「はい」

「その、ピスカと共に居たという女の子のことも、記録してあるわ。最初は、何も気付かなかったんだけれど……」

「……何か、問題があったのですか?」

「後でマコモさんが、何かがおかしいと言って、調べてくれたの。そして、分析の結果……」

「……」

「脳波が確認された」

「……。はい?」

「貴女も知っているとは思うけれど、夢は精神の世界。ニンフィアの桜さんが夢の中で不意に攻撃を受けたというポケモンやそのトレーナーは、夢の中の住人で、脳波なんてものが検出されることは絶対に無い。現実には、存在していないのだから」

「けれど、彼女からはその脳波が発信されていた、と?」

「そう」

「それでは、ピスカと共に眠る少女がもう一人、居るということですか?」

「ええ。そういう事になるわ……」

「そんな……。では、危険な状態にある人物とは……」

「ええ、彼女のことよ。更に言うとね、マコモさんの分析の結果、脳波は微量に検出されるのみで、とても遠い所から発せられているそうなの。マコモさん率いる研究チームの成果物、グローバルリンクは、この惑星全体に行き渡っているにも関わらず、よ。不思議だと思わない?」

「それは……」

「礼。これは、もはや次元の違う話よ。彼女は私達の居るこの世界以外のどこかから、ピスカの夢の世界へやって来たとしか、考えられないわ」


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