夢の前で b
X.「……。よく分かりませんが……。それではあの少女を救うために、貴女はリスクを負って夢の中に入るというのですね」
「ええ、そうよ」
「……」
「このままだとピスカだけでなく、彼女もこの一連の事件の被害者よ。目覚めた時、彼女がどんな精神状態か、記憶の障害は残らないか、身体だって、無事では無いかも知れない。……だって、一体どこで、いつから、どのように眠っているのか……。私達には、全く分からないんですもの。ひょっとしたら、もう……」
「…………。分かりました。私も貴女の精神をクリアにトレース出来る様、善処いたします」
「ええ。ありがとう、礼」
「いいえ。他でもない、貴女のためです」
「……礼がそのつもりでいてくれるなら、私は心強いわ。……それにしても、彼……ピスカは、貴女達の話に、耳を傾けようとしなかったそうね」
「ええ。全力で拒否されました」
「そう……。彼は恐らく、何か勘違いをしているわ。私達の事を、自身の敵か何かと……」
「敵……。そうですね。確かに、その様でした」
「そう。……だったら、その彼の隣に居た、彼女に声を掛けてみたらどうかと思うの」
「別の世界で夢を見ている、彼女に……ですか?」
「そう。彼女に話し掛けてみるの。……彼女が知らないであろう、今の状況を、全てを。……伝えてみせましょう。貴女と、私の力で」
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