夏に遭う時

 166.

「そこのゾロアーク! 貴様に関しては、私が再三の注意喚起をしたというのに……! 貴様の学習能力は、一体どうなっているのだ!!」

「な、ちが……」

「一体、どうやったら洞窟内でこんなにも暴れまわれる……!? 見ろ、イノムー達が一斉に住処から移動して避難し始めたではないか!!」

「えっ、ええ……!?」

「ナガアキ、ちょっと待って下さい。何だか様子が変です」

眼鏡のおっちゃんの前を遮る、銀髪女。
彼女は観察する様に俺達を見回して、自分の主人の前から、動こうとしない。

「……人数が、少ないですね」

そう、ぽつりと呟く。
おっちゃんも何かに気付いたのか、眉間の皺が、更に濃くなった。

「……何なんだ。……貴様等、一体……?」

おっちゃんがそう言い終えた途端、ニンフィアとエルフーンが、一瞬で臨戦態勢に入った。
銀髪女が、二匹相手に右腕の銃口を向けたのだ。

「ナガアキ、やはりこの者達は危険です。近付いてはいけません」

そう言っておっちゃんを庇った態勢のまま、狙いを定める。
その様子に、やれやれと肩をすくめるニンフィアと、また更に慌て始めるエルフーン。

「なんか相手が増えちゃったけど……、ま、仕方ないわよね」

ニンフィアが、余裕そうな笑みで俺に向かい、言い放つ。
くそ。腹立つな……。
めんどくせえ事になっちまったけど、二対二になったのはラッキーだ。
早く終わらせて、ミツキを迎えに行かねえと……。
傷の痛みを抑えつけ、相手に向かって牙を向ける。
その時だった。

「おや、何だか賑やかですね」

突然、背後から声が響いてきた。


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