夏の夢の中で

 CLXXXIII.

「そうですか。ではお話しますね。……ピスカは、森で暮らす一匹のゾロアークでした。彼は当時、森の王と呼ばれていたポケモンと共に、人間の心を操り、悪事を働いたそうです」

「……」

「それは森の掟により罪とみなされ、彼は裁きを受けることになりました」

「……裁き、ですか?」

「そう。それは、深い眠りと共に、悪夢をみ続けるというもの」

「……え?」

「私も最初聞いたとき、よく意味が分かりませんでした。しかしどうやら、当時の処罰として、このような内容のものが数多くあったらしいのです。何でもナイトメアの使い手、ダークライの力を使って、罪人に悪夢をみせるのだとか……」

「……」

「実刑期間は、百八日。その間、ピスカはこんこんと眠り、悪夢を見続けました」

「え? 待って下さい。それが、三千年以上も前の話……ですか?」

「話はまだ終わりません。ピスカがその罰を受けてから、百八日を迎えるまでの間。そこで、ある事件が起きました」

「事件?」

「三千年前のカロス地方で、AZという人間が起こした、とても大きな、歴史に残る大きな出来事です。ミツキさんは、ご存知ですか?」

「……いえ、知りません」

「その事件は、ポケモン達の生きる世界を、大きく変えてしまう出来事でした。何百、何千という数のポケモンが、死傷したのではといわれています。もちろんポケモン達だけが暮らすその森への影響も、計り知れません。そしてついに、当時の森の守り神であり、王として君臨していたゼルネアスが、動き出したのです」

「……ゼルネアス……? 森の王ということは、ピスカの……」

「そう。共犯になりますね。しかし、王、というだけあって、同じ処罰は受けなかったようですが」

「……」

「そのゼルネアスの力は、再生の力。AZによって傷ついたポケモン達は、ゼルネアスの力によって再生し、全ての痕跡は元通りになりました。……ゼルネアスと、ピスカ以外は」

「え…?」


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