夏の夢の中で

 CLXXXIV.

「再生の力を使い果たしたゼルネアスは、再びその力を蓄える為、千年の眠りにつきました。そしてそれは、ポケモン達が住む森の時が止まってしまうことと等しく、王が治めていた森は何時しか、時が進まなくなってしまったように、静まり返ってしまったといいます。……それでも、森のポケモン達が全て居なくなってしまった訳ではなく、王が眠りについてもなお、ポケモン達はひっそりとその森で生き続けていたそうです。しかし千年後、目覚めたゼルネアスは、かつてAZの事件で力を使いポケモン達を救った当時のゼルネアスでは無かった、というのです。そして……」

「……」

「そして、森の犯罪者として眠り続けるピスカの存在は、ゼルネアスや森のポケモン達の記憶から薄れ、消えてしまいました」

「え……? そんな……」

「こうして、ピスカの実刑期間は大々的に延びてしまったのです」

「でも、それじゃあピスカは……? 千年以上も眠り続けていたピスカは? 無事、なんですか……?」

「それが不思議なことに、ピスカは眠り続けながらも未だ生きているそうなのです。……言い方を変えれば、無理矢理生かされ処罰を受け続けている……、ということになりますね。ただし今、彼の身体は少しずつ、衰弱しつつあるようですが……」

「……そう、ですか……」

「そして更に時が経ち、近年、AZが起こした事件が再び私たち世間の目に触れる出来事がありました。そしてそれは、千年以上の時を超えてポケモン達の森を支え続けたゼルネアスも、例外ではありませんでした。そこでゼルネアスは、前世の……私にもよく分からないのですが……過去のゼルネアスの記憶を呼び起こし、眠り続けるピスカの存在に、気が付いたそうなのです」

「……ピスカの存在に? ではピスカは……」

「残念ながら発見されてもなお、ピスカは未だに目覚めていません」

「……」

「……何故だか分かりますか?」

「……いいえ」

「それは貴女が、このピスカの夢の世界へ入り込んでしまったせいなのです。ミツキさん」


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