夏の夢の中で

 CLXXXVII.

「ゼルネアスが千年の眠りにつき、目覚めた時。ピスカの存在に気付かなくなってしまったゼルネアスを見て、ダークライは深く同情したそうです。信頼していた友から裏切られ、挙句の果てに忘れ去られてしまうとは、と」

「……」

「元々ダークライはピスカに対して、自己投影に似た感情を持っていたようなのです。罪人であるピスカに悪夢を見せるという刑の執行者でありながら、その罪も罰も、大幅に延びてしまったという実刑期間にも……彼はピスカに対して、何かしらのシンパシーを感じていたのです」

「……。それでそのダークライが、私がこの世界に来てしまった原因と、どう関係が?」

「……先程申し上げたように、私にも詳しいことは分からないのですが……。ピスカを憐れんだダークライは、ピスカの夢の中に他者を入れ込み同じ状況下に置くことで、ピスカの寂しさを、紛らわせようとしたそうなのです」

「…………はい?」

「つまりピスカが寂しくない様にと、ダークライが夢の中に連れてきた人物……それが、貴女だった、と……」

「…………」

「……ミツキさん……」

「…………そんな、こと……」

「ミツキさん、ショックな気持ちは、とてもよく分かります。私もこの話を聞いて、どれだけ驚いたことか……。いくらダークライが世間から隔離されたポケモンとはいえ、ここまで短絡的な思考を持ち、他者を巻き込んでしまうなんて……。私も理解に苦しみます」

「……」

「まあ、ダークライというポケモンをそうさせてしまったのも、我々人間のソーシャルフェノムが、原因の一部ではあるのでしょうが……」

「私……」

「……ミツキさん?」

「どうして、私が……何故?」

「残念ながら、それは私達にも分かりません……。現世のゼルネアスからの言伝では、そこまでの情報は得られなかったので……」

「そう、ですか……」

「……」

「カルネさん、私は……」

「はい」

「私はこれから、どうすれば良いのですか?」

「……よく訊いて下さいました、ミツキさん。貴女の賢く、勇気ある心に感謝します」


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