夏が終る日

 211.

*****

ミツキが走って行ってしまった、暗い道。
ついぼうっと突っ立ってしまって、気付いた時にはすでに、ミツキの姿は完全に見えなくなっていた。
慌てて一歩を踏み出した、その瞬間。奴等は現れた。

「こんばんは」

サーナイトが、やけに湿っぽい口調で言った。

「こんばんは」

それに返す俺の声は妙にかさついていて、少し、変な声が出た。

「もう追わないって、お前等、言ったよな……。……嘘つきめ」

本当に、お前等の出てくるタイミングは最悪だよ……。
そう思いながら、俺はゾロアークの姿になり、相手を牽制する。
するとサーナイトの横からあの小さなエルフーンが出てきて、俺に向かってこう言った。

「もう、時間が無いのです」

「…………え?」

……何の話だ。
訝しむ俺に、サーナイトが応える。

「これは、カルネの言い出したことではありません。私達三匹が、勝手にやっていることなのです。ずっと……あれからずっと、貴方達の様子を、見てきました……が、もう、見ていられません。これ以上、貴方達の運命を見届けるのは、余りにも、辛いのです。……だから、これは私達三匹の、本当に勝手な、お節介……。でも、それでもどうか、私達の話を、聞いてくれませんか……」

……何だ。
本当に、何の話なんだ。
どうして、そんな……。

「ピスカ。貴方はあの少女と出会って、どれほどの月日が経ったか、覚えていますか?」

エルフーンが、俺に問う。

「……は? 何を、急に……」

どうして……。どうしてそんな、悲しそうな顔をしているんだ……?
困惑する俺に、エルフーンは言った。
とても静かで、冷たくて、悲しい声だった。

「季節がひとつ、終わろうとしています」

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