夏が終る日

 216.

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暗い街角。夜明け前は街灯も消え、ひっそりとしている。
そんな暗闇に紛れている俺達の姿は、きっと、誰の目にも留まっていない。

「随分と遅いから、心配したじゃない」

「ああ。悪かったな」

待ち合わせた場所へ行くと、そこには桜とエルが居た。
二人共、白いマントを羽織っている。
それは今まで逃げてきた森の追手の姿ととてもよく似ていて、なるほど、これが白い影の正体だったのか……と、俺は妙に納得していた。
そんな中、桜が溜め息を吐いて、俺に言った。

「てっきり、夜伽でも始めるのかと思ったわ」

「はあ? なんだ、それ」

首を傾げると、何故かエルが顔を真っ赤にしているのに気が付いた。
本当に何なんだ、お前等は……。

「何でもないわ。……それで? ピスカ、本当に心当たりがあるの?」

「ああ。あるよ」

俺が頷くと、二匹は揃って顔を見合わせた。

「幻のポケモン……クレセリアの羽根、ですよ? この短時間で、一体どこに見当をつけたというのですか……? ワタクシ達だって、長い間探し続けていましたが、一枚見つけるのが、やっとだったのですよ……?」

エルが念を押すように訊いてくる。
そうだな。確かに、そうだよな……。

「俺も、出来過ぎた話だって、思うよ……」

でも、あいつは確かに俺に言ったんだ。……覚えていてほしいと、言ったんだ。
自分はそれを、持っているのだと。

「もう、連絡はついてる。急ごう」

暗がりに紛れた俺に、二匹が続いた。
夜明けは、もうすぐそこだった。

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